2009年4月3日金曜日

豊かさの影2 『食はコストなのか』

浅草で見かけたんだが、『デリカぱくぱく』という250円弁当のチェーン店がある。
店頭に常時7~8種類程度のお弁当が作り置きしてあり、どれも250円である。
さらに唐揚げやコロッケ等の単品も数種類あり、スーパーの惣菜より圧倒的に安い価格で売られている。
上記写真は拾物です。
で、どんな代物なのか試しに買ってみた。
俺が買ったものはメンチカツ弁当で、上記弁当写真の唐揚げが、豚ミンチ肉のメンチカツ2枚になったもの。店頭で物色していると、つい単品も欲しくなり鶏胸肉の照り焼き100円も付けてしまった。
まあ、店側の思うツボという感じである。

さて、食べた感想であるが、付け合せのマカロニは茹でただけで味付けは無し。
メンチカツは旨いってレベルではないが、不味いって程ではない。
鶏肉も味が薄いけど、変な臭いもないし、普通の鶏肉の味だ。
まあ、この価格なので味うんぬんではないが、内ゲバしている某大手持ち帰り弁当チェーンと比較するとコストパフォーマンスは圧倒的である。
単身者や小家族なら自炊するより安く上がってしまうだろう。

この250円弁当、同じようなオペレーションの店が全国各地に増殖中みたいなのである。
名古屋では株式会社 らくるという会社が展開していたり、京都や広島といった地方都市にも地元資本の店が出てきている。
これは、どこかがオペレーションを売っているんじゃないだろうか。
激安を実現するには、いろいろな仕組みやノウハウがあり、それを売ってるのだと思う。
結果、全国各地に同じようなお弁当屋が出来ているんじゃないかと。

で、これだけ激安にするには食材も普通仕入れていては実現不可能だろうということは容易に推測できる。
色んな工夫をこらしていると思うが、食材そのものの品質がどうしても気になってしまう。
もっとも、他の弁当店やスーパーの惣菜だって安心は出来ないのだが。
まあ、積極的に食べたくはないですな。

で、相変わらずの長い前振り(って、いうか本文より長くないかぁ、はは)ですまんが、ここからが本文です。
やまけんさんちのブログ で、
『また一つすばらしきメーカーが消えた。富士食品の納豆を懐かしく思う。食べ物が「安いこと」はそんなによいことか?生産者・メーカーが存続できないほどに安いことは、社会の悪ではないだろうか。』
という記事があったんだが、これも過去の資産の食い潰しの事例と考えてもいいんじゃないだろうか。
スーパー等の小売業者としては『安いものを提供することが使命』なんておためごかしを言い、新聞に一面広告出したりしているところもあるんだが、要は『安いものを仕入れる。食品メーカーなんて掃いて捨てるほどあるんだから、使い捨てればいい』という考え方であろう。

結果、優良なメーカーが潰れ、偽装しているようなメーカーが生き残り、いざ表ざたになると小売側も『我々も騙された~』という訳だ。
その道のプロで、年がら年中コストを計算しているバイヤーがいる大手スーパーがそんないい訳通用するはずもないのだが、いけしゃあしゃあとやる。
また、食料品を購入するほうも『大手スーパーが売ってるんだし、安いほうがよい』と単純に考えているから、まあ幸せという他ない。
毎日食べる食品さえ「コスト」と割り切っているんだろう。

今はまだ過去の蓄積があるので、優良メーカーも残っている。
スーパーでも納豆なら数種類のメーカーのものが並んでいる。
しかし、単純にコスト競争に陥ってしまうと、優良メーカーから無くなっていくだろう。
そうなると、『少し高い価格だけど優良な食品』を手に入れられる環境が失われてしまう。
その結果、今はまだかろうじて生き残っている優良農業生産者(無又は低農薬・有機肥料等で生産している農家)は当然のこと、普通の農家や酪農家も激減してしまうのでないだろうか。

250円弁当の全国的な普及は、低価格回転寿司が全国的に増えた結果、漁業従事者の減少に拍車がかかったように、農業従事者にとどめを刺すかもしれない。

その時、日本人は一体何を食べているのだろうか?

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